解りやすいDCF法の話し(3-2)
㈱日本システム評価研究所 不動産鑑定士・(社)不動産証券化協会認定マスター・司法書士
山田 毅
■ INDEX
基本設定/土地建物価格 総収入/総費用 変動予測 割引率/還元利回り キャッシュフロー/
収益価格
 
レバレッジ効果分析/
リスク分析
シミュレーション テナント毎の
個別シナリオ
グラフ DCF法ソフト
「レシオ5/5」

収入(賃料・共益費、敷金、権利金・更新料)

賃料は原則として実際支払い賃料となり、空室分の空室損失や入室時の賃料計算は、募集賃料を参考とし、賃貸事例比較法により査定された新規賃料となります。つまり空室→入室、入れ替えにより継続賃料から新規賃料にモードが変わります。

共益費は、そのなかには賃料の性格を持つ部分もあるのが実情であるため、共益費全額を総収益に計上し、そのなかから支出される水道光熱費、冷暖房費、清掃費などの実費相当部分を総費用に計上する扱いがキャッシュフロー計算では多いようです。

駐車場収入やその他収入(広告看板収入、自動販売機設置収入など)があれば計上します。
1時金の運用益、償却額 敷金、保証金などテナントに返還不要部分については全額を返還準備金として金融機関に預託することを想定してその運用益を計上します。権利金など返還義務がないものは受け入れ時の収入として計上します。
更新料は権利金に準じた扱いとなります。 


1、データーベースの活用

■DCF法によるキャッシュフロー計算の前提として賃料の水準や敷金の月数、金額、権利金・更新料の妥当性を検証し、分析期間中の収入変動予測を適切に行うことが重要ですが、この検証・予測には評価先例のデータベースが有益です。
先例検索ボタンをクリックすると以下の画面が出ます。建物種別、所在、賃貸面積、用途、階数などで検索すると条件に該当する全先例データが一覧表示されます。
■店舗、1階で検索したのが下の画面です。検索一覧表示の賃料等のデータを検討することで、評価物件の収入項目の検証がスムースにできます。
(データはサンプルデータで現実のものではありませんが、評価先例データ量が増えればさらにきめ細かい条件で最適なデータを検索・抽出できます。)


2、総収入データ入力

データベースによる収入データの検証が済んだら、収入データを入力します。下表の入力データは、収入入力画面で入力し、入力されたデータは一覧表示され、各項目別の並べ替えも可能です。

用途 テナント数 賃貸面積 賃料 共益費 敷金 権利金 更新料
地階 店舗 2 35×2 122.500×2 21.000×2 1.225.000×2
245.000×2 1ヶ月(期間3年)
1 事務所 160 1.120.000 320.000
11.200.000 なし
2 事務所 2 95×2 475.000×2 190.000×2 2.850.0000×2
3 事務所
82 385.400 164.000 2.312.400
事務所 98 460.600 196.000
2.763.600
4 事務所 88 413.600 176.000 2.481.600
事務所 95 456.000 190.000 2.736.000
5 事務所 140 672.000 280.000 4.032.000
事務所 45 216.000 90.000 1.296.000
6~10 住宅 40
24
60.000×40 14.400×40 180.000×40 なし
店舗・住宅・事務所 51 1928.00 7.318.600 2.414.000 42.171.600 490.000 4.918.600
※価格時点を期首とすると期首前入室分の敷金は、契約時点の敷金の残高を計上します。上表は、便宜、期首時点の賃料水準に基づく敷金と同一として計上しています。
駐車場収入:機械式 収容台数20台(稼動台数20台)月2万円、敷金1ヶ月
その他収入:広告看板代 月50万円
レシオ画面(収入データ入力
レシオ画面(駐車場収入/その他収入データ入力)

総費用

総費用の構成項目は以下のとおりです。

●維持管理費 管理コストは運営管理費等と共用部分の水道光熱費からなり、運営管理費はハードの管理と経営管理業務に区分される。不動産証券化スキームではハード面の管理がプロパティマネジメント、経営管理はアセット・マネジメントとなり、アウトソーシングされるのでPMやAMに支払うフイーが該当する。プロパティマネジメントが経営管理業務まで含むケースも多い。
●修繕費 対象不動産の使用に伴う軽微な損傷や消耗に対する修繕や取替えに要する費用。建物についてエンジニアリングレポートなどがあれば実額計上となるが、大半は総収入や建物価格に一定率を考慮した査定額である。
●損害保険料 通常は実額を計上。実額が判明してなければ建物価格に査定料率を考慮して求める。付保額が過大、過小でないか検証する。地震保険などエンジニアリングレポートがあれば参考にする。
●その他費用 上記計上しているもの以外のその他収入に係る支出、借地権付建物の地代など
●資本的支出 投資用不動産の取得時、取得後に行われた支出で、その資産の能率、能力を高めるか、資産価値が増加するか、耐用年数が延長するもの。例えば建物の増築や用途変更、設備の増設、取替えなどに要した支出が該当する。
●公租公課 通常は実額を計上。

データ入力:3

エンジニアリングレポートなどを参考に入力します。TPOビルの各費用については、以下のように査定額を計算しました。査定する際、査定の基礎価格と基礎価格に対する率を決めなければいけません。このとき威力を発揮するのが評価先例のデータです。
「経費率先例データ検索」をクリックすると先例の物件で採用した各費用実額から、基礎価格、率など詳細なデータを一覧表示しますので並べ替えなどして参考にすることができます。

レシオ画面(費用入力)

BACK(3-1へ)][NEXT(3-3へ)