不動産コラム
マイホームと税金についての話(4)(4回連載完結)
税理士 白尾美樹・金子美香 2001.04.25



★前回までの内容

  1. まずは無理のない資金計画で(連載1掲載)
  2. マイホームの頭金と税金(連載1掲載)
  3. マイホームの購入と税金(連載2掲載)
  4. 住宅ローンと税金(連載2掲載
  5. マイホームの所有と税金(連載3掲載
  6. マイホームの売却と税金(〃)

★今回掲載内容

7.共有名義のメリット
8.税務署の「おたずね」とは?



7.共有名義のメリット

 マイホームを購入しその登記をする場合には、ご夫婦の共有名義にすると、税務上次のような有利な点があります。

■「住宅取得等特別控除」が、ご夫婦それぞれで受けられる。(最高で2倍受けられる)
■「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」や「居住用財産の買い換え及び交換の特例」が、ご夫婦それぞれで受けられる。(最高で2倍受けられる)
■財産を分散することにより相続税について有利に働く。


 ただし共有名義にするにあたっては、贈与税の課税に充分気をつける必要があります。
 無収入の配偶者が共有名義人となった場合には、収入のある配偶者から無収入の配偶者への贈与とみなされ、贈与税が課税されるからです。
 またご夫婦ともに収入がある場合でも、持分割合によっては贈与とみなされ、贈与税が課税される場合があります。
 持分割合を決めるにあたって、贈与とみなされないためには持分割合をそれぞれが出した購入代金の割合にすることです。

たとえば、夫の収入800万円、妻の収入450万円で4,000万円の物件を購入した場合に、夫が頭金500万円を出し、借入金3,500万円はご夫婦の連帯債務とした場合を考えてみましょう。

借入金3,500万円は収入の割合に応じ、夫2,240万円、妻1,260万円で負担。
夫 頭金500万円+借入金2,240万円=2,740万円/4,000万円=68.5%
妻 借入金1,260万円/4,000万円=31.5%

 
という持分割合で登記をすれば、贈与とみなされることはありません。

 ところで上記の例では、頭金はすべて夫が出したものとしました。その前提で贈与とみなされない持分割合を出したわけですが、頭金の金額は「住宅取得等特別控除」の金額に微妙に影響してきます。
 贈与とみなされず、なおかつ「住宅取得等特別控除」をご夫婦2人で最も効率よく適用するためには、頭金の割合をどうするかということも考慮する必要があります。
 これは、ご夫婦の収入の割合だけでなく、最高50万円という控除額の上限があるために収入金額そのものによってもちがってきます。ダブルインカムのご夫婦が、マイホームをご夫婦の共有名義にする場合には、頭金、借入金、持分のそれぞれの割合について充分に検討する必要があります。
 
 さらに気をつけていただきたいのは、土地も建物も両方共有名義にするということです。
「住宅取得等特別控除」、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」、「居住用財産の買い換え及び交換の特例」は土地のみを所有している場合には適用がありません。
 つまり、土地を夫名義、建物を妻名義としたような場合には、夫はこれらの特例の適用を受けることができなくなります。

 また、ご夫婦の片方にしか収入がない場合でも、共有名義のメリットを享受する方法があります。
もちろん収入がないわけですから、
■「住宅取得等特別控除」が、ご夫婦それぞれで受けられる。

というメリットは享受できませんが、
■「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」や「居住用財産の買い換え及び交換の特例」が、ご夫婦それぞれで受けられる。(最高で2倍受けられる)
■財産を分散することにより相続税について有利に働く。

については適用できます。

「贈与税の配偶者控除」という特例を活用すれば、収入のない配偶者であってもマイホームの共有名義人になれます。
 この特例は、次の要件を満たした場合には、2,000万円までは贈与税は課税されないというものです。
基礎控除を入れると2,110万円までは贈与を受けても、課税されないということになります。

■要件
①戸籍上の婚姻期間が20年以上である配偶者からの贈与であること。
②今までにその配偶者からの贈与について、この規定の適用を受けていないこと。
③居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること。
④贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に実際に居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。
⑤所定の書類を添付して贈与税の申告書を提出すること。

 この特例の活用にあたっては、居住用不動産を取得するための金銭よりも、居住用不動産そのものの贈与を受けたほうが有利である場合が多いようです。
 金銭で贈与を受けた場合は贈与税の対象となる贈与財産の価格はその金銭の額そのものですが、不動産で贈与を受けた場合には、贈与財産の価格は相続税評価額によって算定されます。
 昨今の地価の下落で必ずしもそうとは言い切れない場合もありますが、通常、相続税評価額は時価よりも低くなります。
 したがって不動産で贈与を受けたほうが、2,000万円以上の価値があるものを取得できることになります。
 最後に、「住宅取得等特別控除」はご夫婦の収入の状況、購入物件の価格によっては、ご夫婦どちらか1人の名義にした場合の控除額と、共有名義にしてご夫婦それぞれの控除額を合計したものとが同額になり、上記のメリットがない場合があります。
 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」については、譲渡損が出た場合や譲渡益が3,000万円以下の場合は、上記のメリットはありません。
 加えて、共有名義にすると自分の持分のみを勝手に売却することができませんので、共有名義にしないほうがいい場合も考えられます。
 マイホームはご夫婦お2人で築かれた財産です。マイホームの購入はご夫婦の今後の生活設計を長期的にじっくりと相談するいい機会ではないかと思います。リタイア後の生活、お1人になられたときの生活も含めて、お2人にとって最善の方法を選ぶために、充分にご検討ください。

8.税務署の「おたずね」とは 
 不動産を売ったり買ったりすると、税務署から「○○についてのお尋ね」という書類が送られてきます。
これは主にどこから資金を調達したかを確認するためのものです。
 不動産は高額なものが多いため、買入資金が、申告されていない贈与によるものではないか?また、不動産の購入価格が、過去の申告所得額と比較して過大である場合には、過去に所得の申告漏れがないか?などをチェックするためのものです。
 支払代金の調達方法については、かなり詳しく記入する欄があります。資金の出どころははっきり説明できるように資料をそろえておきましょう。預貯金から引き出した場合は預貯金の通帳、株式を売却して資金を調達した場合には売買報告書や、取引明細書などを保管しておきましょう。
 本人以外の名義の預貯金から資金を引き出していれば当然贈与の可能性が問われます。
 親や兄弟からの借入である場合、「あるとき払いの催促なし」ということであれば、贈与とみなされる可能性はかなり高くなります。
 たとえ親や兄弟からの借入金であっても、金銭消費貸借契約書を作成し、返済計画をきちんと立てて、その契約に基づいて毎月振込などで返済の跡を残しておくべきです。
 また所得から考えて返済不可能な借入金は、いくら書類を整備し、返済の跡を残しておいたとしても贈与と認定される可能性があります。
 マイホームの売買にあたっては、計画をしっかりとたてて、充分に検討をし、税法上のさまざまな特例の適用を適切に活用することで節税が可能です。

★税理士 白尾美樹・金子美香のページ 

●マイホームと税金についての話(1)
●マイホームと税金についての話(2)
●マイホームと税金についての話(3)



シェア こ
のエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録